自分で疑問を持ち、その答えを探してまとめるのが「研究」です。バイオロギングのような調査を実際に行うのは簡単ではありませんが、BiPに登録されたデータを使えば、自分でデータを分析し、研究のような体験をすることができます。
このページでは、BiPを使って動物の行動データを閲覧し、自由研究や学校のレポートとしてまとめる方法を紹介します。スマートフォンでも操作できますが、画面が小さいと使いにくいので、できればタブレットやパソコンを使うことをおすすめします。

1)BiPのサイトへアクセスする
以下のリンク(https://www.bip-earth.com/ja)、または「bip-earth」で検索して、BiPのトップページを開いてください。画面を下にスクロールするとクジラのアイコンとView Data(データを閲覧・ダウンロードしたい)というボタンが見えます。それをクリックして、データ閲覧ページに進みましょう。

2)登録されているデータを確認する
BiPでは、世界中の動物に装着された記録計のデータが登録されています。2025年7月の時点では、1200件以上のデータがあります。これらのデータは国際的なルールにしたがって標準化されており、「Standardized Data(標準化データ)」と呼ばれています。
データには、「Open(公開)」と「Private(非公開)」の2種類があります。一覧表の鍵マークが「Open」を示しています。非公開(Private)データでも、概要や移動経路は地図上で見ることができます。

3)どんな動物のデータがあるか調べる
動物の種類は、「Species(種)」という項目で確認できます。ここには、動物の学名が記載されています。学名とは、世界共通で使われるラテン語の名前のことです。
学名だけでは分かりづらいかもしれませんので、BiPでデータが閲覧できる動物種の和名リストを下からダウンロードできます。興味のある動物(和名)をインターネットで調べ、その学名を使ってBiPで検索する方法は、次のステップで説明します。
4)興味のある動物のデータを検索する
ここでは例として、「オオミズナギドリ」という海鳥のデータを調べてみます。
- View Dataのページの上部にある「FILTERS」をクリックします。
- ポップアップ画面が表示されたら、「Columns」から「organismPostSpecies(学名)」を選びます。
- 「Value」に「Calonectris leucomelas(オオミズナギドリの学名)」と入力します。先頭の「Cal」だけでも検索できます。
2025年7月時点で、オオミズナギドリのデータは444件登録されています。
さらに、「+ADD FILTER」で条件を追加することも可能です。
たとえば、「formattedReleaseDate(放出日)」に「2022」と入力すれば、2022年に放されたデータだけ(42件)が表示されます。

5)地図で移動経路を見る
GPSロガーなどで記録された位置情報は、地図上で閲覧できます。
- 一覧からひとつのデータを選びます。
- 右端の「Action」から「Visualize Location」をクリックします。
- 地図上にその動物の移動経路が表示されます。

左下の「▶ アニメーションを開始」を押すと、動物の動きが時間の経過とともに再生されます。
終了するには■(停止)をクリックし、左上の「×」を押せば一覧画面に戻れます。
6)テーマを考えてデータを比較する
ここまでで、BiPの使い方が分かったと思います。次は、自分で研究テーマを決めてデータを比較してみましょう。例えば、オオミズナギドリだけでもさまざまな繁殖地で2009年からデータが収集されています。利用する海域を繁殖地間で比較したり、同じ繁殖地でも移動経路を年を追って比較することで、海の環境変化や食べている餌の分布の変化などを知ることができるかもしれません。
また、近い分類群の動物種について、種間で移動経路がどのように違うのかを調べることも研究のテーマになるかもしれません。例えば、BiPには東北地方で放された衛星発信機を付けたアカウミガメ(Caretta caretta)とアオウミガメ(Chelonia mydas)のデータが収集されています。FILTERSでそれぞれの学名を入力し、各種の移動経路を表示して比較してみてください。FILTERSの使い方は4)を移動経路の表示については5)を参考にしてください。
比較するテーマの例:
- オオミズナギドリの繁殖地ごとの利用海域・移動経路の違いを調べる
- 〃 の同じ繁殖地でも年ごとの違いを見る
- アカウミガメ(Caretta caretta)とアオウミガメ(Chelonia mydas)の移動の違いを比較する
- そのほか、さまざまな種類で同種の個体同士の共通点・類似点を比較する
このように、場所・時期・種の違いから生まれる行動の違いを考えてみると、海の環境や動物のくらしについての理解が深まります。
7)調べたことをレポートにまとめよう
調べた内容は、自由研究や授業のレポートとして文章にまとめてみましょう。
書くときのポイント:
- 調べた動物の和名と学名
- その動物の体の大きさ、生態、暮らしている場所など
- BiPで見た移動経路の特徴
- 気になったことや分からなかったこと
- 使った図鑑やWebサイトの名前
自分で気づいたことや、ちょっとした疑問も大切な発見です。自由な発想で、感じたことをまとめてみてください。
もし「これは面白い!」と思えるようなことが分かったら、BiP-Helpサイトのお問い合わせフォームからレポートを送ってみてください!